
数々の名作を生み出してきた最強コンビ
マイケル・B・ジョーダンとライアン・クーグラーが再びタッグを組んだ映画
『罪人たち』(原題:Sinners)
本国アメリカで公開されると大きな反響を呼び大ヒット!
日本でも緊急で公開となったサバイバル・ホラー作品です!
私もさっそくIMAXで鑑賞してきたのですが、すごかった!
ひさしぶりに映画の最初から最後まで圧倒されました・・・
この記事では、本作のあらすじ・見どころ・感想・注目ポイントなど、ネタバレなしで徹底的にご紹介します!
映画『罪人たち』圧巻のIMAX大作だった!マイケル・B・ジョーダン×ライアン・クーグラーの最高傑作
ということで、IMAXの大画面で鑑賞してきました
『罪人たち』(原題:Sinners)
ライアン・クーグラー監督・脚本・製作で、主演がマイケル・B・ジョーダンという、
数々の名作を生み出してきた二人の最新作ときたら、見逃す訳にはいきませんよね!
主演のマイケル・B・ジョーダンは双子の兄弟スモークとスタックを一人二役で演じ、見事な演じ分けを見せた演技は高い評価を受けています。
この双子がギャングの世界から足を洗って地元に戻り、新しい人生をスタートさせようとしたところ、
思いもよらない恐怖の一夜に巻き込まれてしまう・・・
という、ホラー作でありながら、ブルースなどの南部の黒人文化と、根強く残る差別などの社会的背景にも切り込んでいる、
意欲的な快作、いや怪作で、アメリカ映画界注目の鬼才ライアン・クーグラー監督の手腕が存分に発揮されている一本でした!
しかも、これ実はIMAXカメラで撮影されているIMAX映画でもあったので、
スクリーンを埋め尽くすフル画角で見ることもできて、嬉しいサプライズでした!
これはぜひ一度はIMAXの大スクリーンで、もしそれが無理なら、映画館のスクリーンで見ていただきたい作品です!
映画『罪人たち』のあらすじ
それではこの映画のあらすじを簡単にご紹介します!
舞台は1932年の南部アメリカ・ミシシッピ州クラークスデール。
ミシシッピ・デルタと呼ばれる、ブルース音楽発祥の地が舞台です。
ギャングの世界から足を洗った双子の兄弟スモークとスタックが、8年ぶりに地元に帰ってきます。
ギャングで稼いだお金で、ジューク・ジョイント(音楽酒場)をオープンさせる計画です。
従兄弟のサミー(プリーチャー・ボーイ)や、デルタ・スリムといった腕利きのミュージシャンたちを集めて、
食料品店のボーとグレースの夫婦や、スモークの元妻アニーにも協力してもらって、
さあ、いよいよグランドオープン!
と華やかに店を開店させたところ、想像を超えた世界の恐怖が襲いかかることに・・・
というストーリーです。
生き残りをかけたサバイバル・ホラー作ではありますが、
南部アメリカの黒人文化を背景に、ジューク・ジョイントで演奏されるブルース音楽も主役の一つの音楽映画でもありますので、
ホラーだけじゃなくて音楽好きな方にも刺さる映画になっていると思います!
映画『罪人たち』のキャスト
マイケル・B・ジョーダン:スモーク / スタック・ムーア(双子の兄弟の二役)
ヘイリー・スタインフェルド:メアリー(スタックの元恋人)
マイルズ・ケイトン:サミー・ムーア ”プリーチャー・ボーイ”(スモークとスタックの従兄弟でミュージシャン)
バディ・ガイ:老年期のサミー
ジャック・オコンネル:レミック(アイルランド出身の謎の男)
ウンミ・モサク:アニー(スモークの元妻)
ジェイミー・ローソン:パーリン(歌手)
オマー・ミラー:コーンブレッド(用心棒)
デルロイ・リンドー:デルタ・スリム(ブルース・ミュージシャン)
リー・ジュン・リー:グレース・チョー(雑貨店の妻)
ヤオ:ボー・チョー(雑貨店の夫)
映画『罪人たち』のスタッフ
それではこの映画
『罪人たち』(原題:Sinners)
そのスタッフもここでご紹介していきます。
まずは、メガホンを取ったのは、『クリード』『ブラックパンサー』などの作品で、アメリカの若手監督の中でもひときわ高い評価を受けている
ライアン・クーグラー監督
本作では脚本・製作も兼ねていて、
この映画のために自身の出自についてリサーチしてオリジナルの脚本を書き上げたという完全オリジナル作品です!
今のハリウッドでは原作があったり、何かのシリーズの続編やリブートものが多い中で、
完全オリジナル作で勝負してきて、大成功を収めたのはさすがというほかありません!
『ブラックパンサー』は本当に名作でした!
そしてこの映画は、南部のブルースをメインにした音楽映画でもありますが、
音楽を手掛けたのは数々の映画音楽を手掛けて高い評価を受けてきた
ルドウィグ・ゴランソン
クーグラー監督とはデビュー作の『フルートベール駅で』以来、全ての作品の音楽を手掛けてきた盟友で、
『ブラックパンサー』ではアカデミー作曲賞も受賞しています!
自身はスウェーデン出身で、今作で南部アメリカのブルース音楽を手掛けるために、クーグラー監督と調査をしながら音楽を完成させていったそうです。
その甲斐あって、この映画ではブルースをベースにした音楽が全編で流れ、映画のもう一つの主役になっていると思います!
そしてこの映画は、IMAXフィルムで撮影を行った IMAX 映画でもありますが、撮影監督を務めたのは
オータム・デュラルド・アーカポー
女性として初めてIMAXフィルムで映画を撮影したことでも話題になりました。
IMAXフィルムは65mmの大判なので、撮影機材も大型で大変なのだそうですが、
この映画ではその映像の美しさにハッとさせられるシーンがいくつもあって、
その撮影技術の高さに驚かされました!
その他、Ultra Panavisionも駆使して全編の映像世界を作り上げていて、
この映画は本当に映像を観るだけでも一見の価値が大有りです!
映画『罪人たち』の見どころ
それではここからは、この映画
『罪人たち』(原題:Sinners)
その見どころをご紹介していきたいと思います!
ブルースの魂を感じるど迫力のライブシーン!
まずこの映画を見る際に注目して欲しいのは、
この映画は音楽映画でもある
ということ!
全編にわたってブルースの音楽シーンがふんだんに盛り込まれていて、その音楽を聞くだけでも一見の価値ありです!
特に注目して欲しいのは、
スモークとスタックの従兄弟のプリーチャー・ボーイを演じたマイルズ・ケイトンの美声には、
スタックと一緒に「おお〜!」と盛り上がってしまうこと間違いなしです!
マイルズ・ケイトンはまだ若干20歳の新進ミュージシャンで、本作で映画初出演。
なんと今作に出演するためにギターを習った、ということで、
華麗にギターを弾きこなしているシーンが出てきますが、努力の賜物だったんですね・・・!
このマイルズ・ケイトンがジューク・ジョイントで披露するライブは、本当にこれを見るためだけでも映画のチケット買う価値あり!
時間と空間を行き来するファンタジー色あふれるシーンは、この映画のハイライトです!
そして、そのほかにも、デルタ・スリム、パーリンのライブも見応え十分!!
私はそんなにブルース音楽に詳しくはないのですが、その迫力にカルチャーショックを受けるほどでした!
そして、ゲスト出演として、伝説的なブルース・ミュージシャンのバディ・ガイが出演していることも、ブルースファンの方にはたまらないそうです!
さらに、レミックを演じるジャック・オコンネルたちは、アイルランド音楽を披露してくれていて、
またこのアイルランド・チームも演奏も歌もめちゃくちゃ上手い!
これは本当に、劇場のいい音響で見る価値ありです!私は IMAX のいい音響で見ることができて、本当によかったと思っています!
映画のサントラもすごくいいので、ぜひ聴いてみてくださいね
IMAX フル画角の圧巻の映像美!
そしてこの映画
『罪人たち』(原題:Sinners)
その見どころの一つは、
IMAX65mmフィルムで撮影された圧巻の映像!
まだIMAXのフィルムで撮影を行ったことがあるカメラマンは世界でも少なくて、
クリストファー・ノーラン監督と組んで IMAXフィルム撮影を行ったホイテ・ヴァン・ホイテマが有名ですが、
今回この作品を撮るにあたって、ライアン・クーグラー監督がノーラン監督にアドバイスを求めたとのことです。
ですので、ノーラン監督もエンドクレジットに名前が入っているんですね。
今作ではオータム・デュラルド・アーカポーさんが、女性として初めて IMAXフィルム撮影を行っています。
IMAXフィルムカメラって、通常のカメラよりも大型で、操作が大変なんだそうですよね、
それを女性でカメラ担いで撮影に駆け回って・・・って、ものすごい大変な労力だったと思います。
さらには横長のウルトラ パナビジョン 70も使用。
縦長正方形に近いIMAXと、横長のパナビジョンを合わせて撮影という、縦横の最大級を組み合わせた画期的な映像作品なのです!
そういう映像が見どころの作品なので、私も日本最大級の巨大IMAXスクリーンを誇る池袋のグランドシネマサンシャインで観てきました!
映画館で観ていても、やっぱりあの大スクリーンでIMAXフル画角は圧巻の一言です!
天井まで埋め尽くす巨大映像の迫力はやはり他の劇場ではなかなか味わえませんね!
そうしてIMAXフル画角の後に、ウルトラ パナビジョンも挟まれて、画面のどれを見てもまさに圧巻!
オータム・デュラルド・アーカポーさんの映像はどれも美しくて、
夕暮れに現れるチョクトー族や、綿花畑のシーン、ジューク・ジョイントのライブシーンなど、
どれもそのままポスターにして、ずっと部屋に飾っておきたいくらいでした!
映画の尺の関係だとは思うんですが、それだけ美しい映像が、数秒だけで切り替わってしまうと、つい「もっと見せて!」と叫びたくなります。
気が早いですけど、オータム・デュラルド・アーカポーさん、アカデミー撮影賞取れるんじゃないか?
実際それだけの仕事をしたと思うし、取ってほしいと期待します!
IMAXフィルム駆使してあれだけの映像、ちょっと今年見た映画の中でも、これに匹敵するものが思い浮かびません。
それに、ハリウッドで女性の撮影監督はまだ少ないので、ぜひ応援したいですね!
オータム・デュラルド・アーカポーさんはライアン・クーグラー監督と『ワカンダ・フォーエバー』に続くタッグです!
俳優陣の大熱演!一人二役の名演技に注目!
そしてこの作品ではぜひ!
俳優たちの熱演にも注目です!
とくに主演のマイケル・B・ジョーダンは、一人二役で双子のスモークとスタックを熱演!
一卵性の双子だから同じ人が二人を演じ分けているんですが、
これが不思議なことに、ちゃんと別人に見える!
兄のスモークはちょっと頑固そうで、真面目な印象、弟のスタックは、もうちょっとふざけて冗談を言ったり、軽い印象、
というように、性格の違いを演技でちゃんと表していて、映画を見ていると今映っているのはどっちの方か分かるようになっています!
そして強い南部訛りで話して、すっかり南部の男に!
これはマイケル・B・ジョーダンも人生ベストアクトなんじゃないかと思います!
これも気が早いかもしれませんが、マイケル・B・ジョーダンも、アカデミー主演男優賞取れるんじゃないか?
ぜひ取って欲しいと思います!
そしてこの双子の弟のスタックの元カノ・メアリーを演じたのが
ヘイリー・スタインフェルド
実はヘイリーは、お祖父さんがアフリカ系とフィリピン系のハーフだそうで、
同じようなバックグラウンドのメアリーを演じたのは運命的な出会いと言えますね!
メアリーは黒人社会で育った女性なので、話し方も身のこなしも粋な南部の女性を見事に演じていました!
どちらかというと可愛らしい印象が強かったですが、今作では一気に色っぽく、そして女性らしい強さも表現していて、
また女優として一つ大きく成長したような印象です!
そしてスモークの元妻アニーを演じたウンミ・モサクも堂々とした演技で、素晴らしかったです!
なんとイギリス出身だそうですが、南部訛りで大熱演!
アニーの存在が映画に深みを与えたと思います。
そして従兄弟のプリーチャー・ボーイを演じたマイルズ・ケイトンの演技も、初とはとても思えない堂々としたものだし、
その他のキャストたちもみんなそれぞれ個性的で存在感があって、
このキャストたち全員でこの映画の世界を作り上げていて、どれが欠けていてもこの世界観はできなかったな、と思ってしまいます。
各個人にも演技賞をあげたいですが、アンサンブル演技賞も、ぜひ受賞して欲しいですね!
南部アメリカの文化を知る
そしてこの映画
『罪人たち』(原題:Sinners)
を見る上で一番大事なことは、この映画の舞台は1930年代のアメリカ南部、ミシシッピ・デルタと呼ばれる地域で、
その時代と地域の文化を色濃く反映しているということです。
逆にいうと私たち日本人にはなじみが無いところなので、ちょっとバックグラウンドを調べる必要があるのですが、
それが分かるともっと映画の中身を理解することができて、楽しむことができるようになると思います!
当時のアメリカではまだまだ黒人差別が根強く残っていて、特に南部ではジム・クロウ法によって人種隔離政策が行われていたそうです。
1964年に公民権法が成立してジム・クロウ法が廃止されるまで、南部の黒人社会は激しい差別を耐えしのんでいたんですね。
そんな厳しい生活の中で生まれたのが、黒人たちの心を癒すブルース音楽で、この映画のもう一つの主役です。
そんな時代背景の中で、双子のスモークとスタックがジューク・ジョイント(音楽酒場)を開くのですが、当時とするとかなり難しいことだったのがわかります。
スモークとスタックは、一度はこの故郷を捨てて、第一次世界大戦に従軍してドイツで戦っていました。
その後帰還したのですが、シカゴに行って、アル・カポネのところでギャングをすることに。
第一次大戦の帰還兵たちは銃火器の使い方が分かってるので、アル・カポネみたいなギャングたちに重宝されたという社会背景があったそうです。
結局シカゴでも黒人差別は根強く、あまり変わらないので故郷に帰ることにした、ということですが、当時の人種差別の激しさが窺えますね。
しかし南部では白人至上主義のKKKが暗躍していることもあり、彼らからの暴力にも警戒しなくてはいけなかった状態。
双子の弟スタックの恋人だったメアリーは、ほとんど白人なのですが黒人の血が入っているので、KKKに攻撃されるのを恐れていました。
そういう背景を知ると、映画の登場人物たちを取り巻く閉塞感がより伝わってくるようになります。
そして忘れてはいけないのは、スモークの元妻・アニーは、フードゥーという南部アメリカの黒人社会の中で伝えられていた民間信仰を実践する人で、
お守りを作ったりおまじないをしてあげたり、木の根などを使った民間診療もやっていたようです。
アニーがこの、フードゥーの使い手だったのいうのは、物語に大きな役割を果たしますのでお見逃しなく!
そんな中で物語が進行していくので、この映画はただのホラー映画じゃなくて、歴史物でもあるし、そして何より音楽映画!
という、いろんなレベルで味わいのある、奥行きの深い映画にしあがっているのです!
ぜひこの映画を見る時には、そういう文化的な背景や歴史にも注目して、それぞれの登場人物の気持ちを理解してみてくださいね!
映画『罪人たち』ぜひスクリーンで観てね!
ということで、
数々の名作を生み出してきた最強コンビ
マイケル・B・ジョーダンとライアン・クーグラーが再びタッグを組んだ映画
『罪人たち』(原題:Sinners)
をIMAXで鑑賞してきたのですが、本当にすごかったです!
映像も、音楽も、俳優たちの演技も一級品!
そして何より、南部アメリカの歴史や文化的背景なども重曹的に塗り込められた、本当に奥深い映画でした!
これは一回見ただけでは理解しきれないところが大きいので、上映が続いている限り、何度も観に行きたいと思います!
ぜひ大スクリーンで公開しているうちに、一度目撃してみてくださいね!
この映画に興味を持った方は、こちらもぜひどうぞ!