50年にわたる歌舞伎界の壮絶なドラマを描いた
映画『国宝』
劇場で鑑賞してきました!
公開からじわじわと話題を集め、異例の大ヒットとなったこの映画、
観てみたら評判以上の壮大な人間ドラマで、
吉沢亮さんと横浜流星さんの歌舞伎対決も壮絶!
3時間の上映時間があっという間に過ぎる、圧巻の作品でした!
この映画について、観てきた感想や見どころなど、徹底レビューしていきます!
映画『国宝』評判以上にすごかった!
さて、そういうわけで、評判の高さにつられて観てきました!
50年にわたる歌舞伎の世界の壮絶なドラマを描いた
映画『国宝』
公開から評判を呼び、満席回も相次ぎ、映画ランキングでも1位を連続獲得の話題作!
ということで、かなりの期待を胸に見に行ったんですが、
いや正直、期待をはるか超えた作品でした!
吉沢亮さんと横浜流星さんが歌舞伎役者をやる!
ということで話題でしたが、本音を言うと、歌舞伎のシーンはそんなには無いんだろうな、と思っていたんです。
お二人とも歌舞伎役者ではないですし、歌舞伎のシーンを再現するのは相当難しいはずですから、
それ以外の人間ドラマがメインになるだろうと思っていたんですよね。
ところが・・・
観に行ってみたら、お二人とも、ガッツリ歌舞伎をしていました!しかも女形!
しかも歌舞伎のシーンが相当長い!
演目も多いし、全部の振り付けを覚えて、しかも女形で踊って説得力を持たせなくてはいけない役で、
お二人とも、よくぞここまで・・・と呆然の演技でした!
3時間もの上映時間で、正直観る前は少し不安もあったのですが、
観始めてみると本当に3時間があっという間に過ぎる、見せ場連続の一大ドラマでした!
映画『国宝』のあらすじ
それでは、そんな圧巻の
映画『国宝』
そのあらすじについて、簡単にご紹介していきます。
物語は、長崎に住む少年と歌舞伎役者の運命的な出会いからスタートします。
少年・喜久雄は長崎では有名な任侠一家の息子。
しかしとある事件で父を失い、歌舞伎役者の花井半二郎に引き取られて歌舞伎の世界に足を踏み入れることに。
花井半二郎の跡取り息子・俊介と一緒に厳しい修行の日々を過ごしていましたが、
事故で舞台に出られなくなった半二郎が、自身の代役に指名したのは、息子の俊介ではなくて喜久雄の方で・・・
という、伝統芸能の歌舞伎の世界の中で、血筋と才能のぶつかり合いを
50年という長い年月をたどって描いていく壮大なドラマです!
映画『国宝』のキャスト
それではここからは
映画『国宝』
この作品を作り上げたキャスト陣をご紹介していきます!
吉沢亮(立花喜久雄/花井東一郎 役)
主人公・喜久雄を演じるのは、確かな演技力と圧倒的な美貌で人気の吉沢亮さんです。
歌舞伎界で女形として頭角を現しながらも、歌舞伎の血筋では無い生まれに苦悩する喜久雄を圧巻の演技で表現しています。
横浜流星(大垣俊介/花井半弥 役)
歌舞伎役者の花井半二郎の跡取り息子・俊介を演じるのは、数々の作品でその演技力を高く評価されている横浜流星さんです。
喜久雄と一緒に歌舞伎の鍛錬を積みながら成長し、跡取り息子でありながらも喜久雄の圧倒的な才能の前に苦悩する俊介を感情豊かに演じています。
渡辺謙(花井半二郎 役)
喜久雄を歌舞伎の世界へ導く歌舞伎役者の花井半二郎は、世界的俳優・渡辺謙さんが演じています。
その演技力と存在感は、若い二人がメインの映画の屋台骨をしっかりと支えてサポート。劇中では歌舞伎のシーンも披露しています。
高畑充希(福田春江 役)
喜久雄の幼なじみで、恋人でもあった春江を演じるのは、今や日本のトップ若手女優の一人である高畑充希さんです。
喜久雄と恋人関係でありながら、どこか儚げで影のある春江の存在は、喜久雄の人物造形に深みを与えてくれています。
森七菜(彰子 役)
窮地の喜久雄の前に現れ、その心を揺さぶる存在として登場する彰子を演じるのは、若手注目株の森七菜さんです。
出演シーンは短いものの、繊細に揺れる女性の心理を見事に表現し、強い印象を残しています。
寺島しのぶ(大垣幸子 役)
歌舞伎役者の花井半二郎の妻で、俊介の母親である幸子を演じるのは、自身も歌舞伎の世界に生まれた寺島しのぶさんです。
実際の歌舞伎界に精通するため、映画のアドバイザー的役割も果たして、この映画のリアリティを支えています。
田中泯(歌舞伎役者・小野川万菊役)
人間国宝の女形で、喜久雄の才能に早くから気づいて見守る万菊役は、前衛舞踏家として国際的に活躍する田中泯さんが演じています。
人間国宝という役柄に説得力を与える、圧巻の舞踏シーンを披露してくれています。
映画『国宝』のスタッフ
それではこの映画の世界を作り上げたスタッフたちも、ここからご紹介していきますね。
監督:李相日
この映画で監督を務めるのは、『怒り』『悪人』といった作品で高い評価を受ける、李相日監督です。
吉田修一原作の小説を映画化するのは3度目で、今作では日本の伝統芸能・歌舞伎の世界を正面から描き切りました。
脚本:奥寺佐渡子
この映画の脚本は、『サマー・ウォーズ』などの作品で知られる奥寺佐渡子さんです。
長大な原作小説で、しかも歌舞伎の難解な世界ながら、一般の観客にも理解しやすくまとめ上げてくれていて、
長時間の上映時間も全く苦にならずに観ることができました。
撮影:ソフィアン・エル・ファニ
そしてこの映画の撮影監督は、ソフィアン・エル・ファニさんが担当しています。
フランス出身で、カンヌでパルム・ドールを受賞した『アデル、ブルーは熱い色』を撮影した敏腕撮影監督です。
今作での歌舞伎のシーンなど、その映像美の世界を支えています。
美術:種田陽平
そしてこの映画で美術を担当したのは、『キル・ビル』『清洲会議』などの作品で知られる種田陽平さんです。
この映画でも歌舞伎の劇場までセットで建ててしまったというから驚きです!
映画を観る時には、リアル感あふれるセット美術にも注目です!
原作:吉田修一
そしてこの映画の原作は、
吉田修一さんのベストセラー小説『国宝』です。
この原作は上下巻の長大な作品で、登場人物の50年を描く大作です。
それをよく1本の映画にまとめることができたな、と感心するばかりです!
映画のヒットにつき、この小説もベストセラーになっているようですから、
このブームにのって私もぜひ一度読んでみたいなと思っています!
映画『国宝』の見どころ
それではここからは、
映画『国宝』
劇場で鑑賞してきて、個人的に見どころだなと思ったところをまとめていきたいと思います!
大胆なネタバレはしないつもりですが、できるだけ情報を入れずに映画を観たい方は、まずは映画を観てから以下は読んでくださいね!
吉沢亮と横浜流星の女形!歌舞伎シーンは圧巻!
まずはとにかく、この映画で見逃せないのは、
吉沢亮と横浜流星の歌舞伎シーン
正直、映画を観る前は、ここまで歌舞伎のシーンに力が入っているとは思わなかったです。
お二人とも演目の数が多い!
しかも演目のシーンがそれぞれ長い!
男性のお二人が女形での歌舞伎を演じていて、
もちろんお二人とも歌舞伎の家の出身でもない俳優さんたちですから、
発声方法も、所作も全て現代劇とは全く異なる歌舞伎を演じるのは相当大変だったはず。
この役をこなすために、なんと一年半も歌舞伎の稽古を積んで撮影に望んだのだそう!
二人で息のあったところも出さなくてはいけないので、一体どれくらい稽古を積んだのか、その努力を思うと胸が熱くなります・・・
衣装の着物も、ものすごく重いので、着て動くだけで汗だくになるそうです。
それだけの努力と苦労を全く見せないくらいに、二人の舞踊シーンは美しいです!
お二人ともイケメンで有名ですが、歌舞伎のメイクをすると、本当に美しい女性に早変わり!
特に吉沢亮さん、もともと顔の造作が完璧に左右対称で彫刻のように美しいので、
歌舞伎のメイクと衣装で、絶世の美女になっていました!
セリから上がってくるショットは、本当にため息ものの美しさです。
私は原作未読なんですが、喜久雄は容姿が美しい設定みたいですから、喜久雄の役に吉沢亮さんはピッタリですね!
舞台のシーンでも俳優の顔のクローズアップが多かったですが、
それでもものすごく美しくて、これは大画面で観る価値、大ありです!
俳優・吉沢亮、魂の演技!
そして、主演の喜久雄を演じた
吉沢亮さんの演技は圧巻でした!
正直、これまでそんなに演技をじっくり観る機会がなくて、今作で初めて長い時間観させていただいたんですけれども、
吉沢亮さんってこんな上手い俳優さんだったのか・・・と、驚かされました!
舞台前の緊張感なんてこちらも緊張して胸がドキドキしてきてしまうくらいでしたし、
任侠の出身が分かるようなケンカのシーンの切り替えもあざやかで、
焦りとか不安とか、いろんな感情がセリフなしで伝わってくる絶妙な表情操作も見応えがありました!
そして何より歌舞伎のシーンの美しさと迫力は素晴らしかったです!
これから日本を代表する映画俳優に成長されていくと思いますので、今後の活躍も楽しみです!
息をのむ映像美!
そして個人的には、最初から最後まで
この映画の映像美に圧倒されました!
雪や桜などの自然の風景や、歌舞伎の楽屋から舞台の様子、そして俳優の姿までも、
どれも美しくて3時間一瞬も飽きることがありませんでした!
撮影監督のソフィアン・エル・ファニさんはフランスの方ですので、
見慣れた日本の風景を撮るにしてもちょっと視点が違うような気がして、
日本を撮っているんだけどいつも観ている日本とは一味違う、
「ここではないどこか」の物語のようで、映画全体が夢の世界のお話のように感じました。
改めて、映画って撮影監督によって仕上がりが大きく左右されるよなあ、と実感させられました。
この美しい映像をまた観るために、映画館にまた観にいきたいな、と思っています!
映画『国宝』の残念だったところ
そんな見どころ満載の
映画『国宝』
ですが、もちろん「ちょっと残念だったな」というところもあったので、最後に少しだけ。
この映画の原作が、上下巻の大作で、物語も50年にわたるお話なので、
3時間の映画でもとにかく急ぎ足で過ぎ去った
という印象です。
原作の内容を相当はしょって3時間にまとめたのが観ていても分かって、
もう少し登場人物の心境の変化とか、関係性の変化とかもゆっくり観たかったな、という気がしています。
これだけ原作が長いものなので、前後編にして2本に分けても良かったのでは?
前後編それぞれ3時間で作っても、多分それでも描ききれていないところがたくさん出てきそうな勢いです。
いろんな事情で1本にまとめたと思うので、これで完成品として見るべきだとは思うのですが、
できたらそのうち「ディレクターズカット」とかで、もう少し長いバージョンも出してもらえたらと期待しています!
映画『国宝』まだ観ていない方はぜひ劇場で!
ということで、
50年にわたる歌舞伎界の壮絶なドラマを描いた
映画『国宝』
劇場で鑑賞してきたのですが、
観てみたら評判以上の壮大な人間ドラマで、3時間の上映時間があっという間に過ぎる、圧巻の作品でした!
この作品は吉沢亮さんと横浜流星さんの代表作になることはもちろん、
今年の日本映画界を代表する、映画史に残る一本になると思いますので、
上映している間にぜひもう一回観に行っておきたいと思います!
まだ観ていない方は、やはり劇場の大スクリーンで観た方が絶対いいと思いますので、
ぜひ上映期間のうちに劇場に足を運んで観に行ってみてくださいね!
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