ジム・ジャームッシュ監督の映画
『パターソン』
見てみましたよ!
映画の中ではこれといった何事も起こらないんだけど、
バスドライバーの主人公の日常が淡々と続いていく、
結論から言うと、ず〜っと見ていたい、幸福感あふれる映画!
あ〜、やっぱりジャームッシュの映画好きだな!
と思わせられる、名監督の独特の世界観に浸られる幸せな映画、
ご紹介します!
名匠ジム・ジャームッシュ監督の映画『パターソン』!
名匠ジム・ジャームッシュ監督の映画
『パターソン』
見てみました!
作品データ:
監督・脚本: ジム・ジャームッシュ
出演: アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニ
2016年 アメリカ映画
あらすじ:
“パターソン” に住む “パターソン”という名の男の7日間の物語
ニュージャージー州パターソンに住むバス運転手のパターソン(アダム・ドライバー)。彼の1日は朝、隣に眠る妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをして始まる。いつものように仕事に向かい、乗務をこなす中で、心に芽生える詩を秘密のノートに書きとめていく。帰宅して妻と夕食を取り、愛犬マーヴィンと夜の散歩。バーへ立ち寄り、1杯だけ飲んで帰宅しローラの隣で眠りにつく。そんな一見変わりのない毎日。パターソンの日々を、ユニークな人々との交流と、思いがけない出会いと共に描く、ユーモアと優しさに溢れた7日間の物語。
(公式サイトより)
「パターソン」という町の、何事もない日常から生まれる詩のような世界
というわけで、この映画
『パターソン』
を見てみたわけなのですが・・・
数多くあるジム・ジャームッシュ監督の映画の中では一番好きかも!
なんでしょう、この「何も起こらない」感!!
でも、画面から一瞬たりとも目が離せない、
退屈な瞬間なんて全然なかったという、このマジック!
116分の本編が、「あ〜もう終わっちゃうの? 勿体ない・・・」とさみしくなってしまいます。
ほとんど事件らしい事件は何も起こらないのに!
何かドラマチックな出来事が起こるんじゃなくて、日常のささいな出来事だけ
そんな日常のちょっとしたことを、「パターソン」という町に住んでいる同じ名前の「パターソンさん」(アダム・ドライバー)が
詩にしてノートに書き留めていくんですよね。
基本的には、観客の私たちはそんな様子をず〜っと見てるだけなんだけど。
でもなんだろう、この満足感、幸福感!
基本的に、主人公の「パターソン」という町に住んでいる「パターソンさん」は、とっても幸せな人なんだと思います。
美人な奥さんがいて、ブサカワなワンコと一緒に暮らしてて。
バスの運転手って地味な職業だけど、人々の生活にじかに触れ合って、
その日々の様々なことから、「パターソンさん」の詩が生まれていきます。
そうか〜、詩って、何も大げさなことじゃなくて、ごくなんでもない日常から生まれてくるんだね。
マッチ箱とか、雨とか、愛する妻とか・・・
おだやか〜な日常生活を送る、ごくフツーーーの人「パターソンさん」。
彼の日常を見守っていると、本当にそこらへんにいそうな親近感が湧いてきて、なんだか好きになっちゃうんですよね。
そして、この幸せな生活がずっと続いていくように、いい詩がいっぱい書けるように、と願わずにはいられない!
真面目な「パターソンさん」は、毎日のバス勤務にも手を抜きません。
いたって真面目にこなしながら、その片手間に、ノートに詩を書きつけていく。
詩は少しづつ出来上がっていくので、映画を見てる私たちは、ちょっとずつしかその詩を聞くことはできないけど、
彼の「秘密のノート」にはすでに、いっぱいの詩が書いてあるらしい。
そのノートを読んだ「パターソンさん」の奥さん曰く、とってもステキな詩で、才能があるって。
そんなふうに才能を信じてくれてる奥さんがいて、「パターソンさん」幸せ者だな。
見てるこっち側も、幸せな気分で「パターソンさん」の幸せを願ってしまう、そんな映画なのでした。
そして、ジャームッシュ監督作品ではいつもながら、音楽がすごくいいので、
音楽を聞いて「パターソン」の映像を見てるだけでもひょっとしたら相当満足できたのかもしれないけど。
ストーリーもいろんな積み重ねがあってラストにうまくつながってて、
とにかく本編116分あって、文句のつけようがなかったな。
最初から最後まで、この「パターソン」の世界は完璧だと思う!
すご〜く、よかった!
もう一度見たいな、この「パターソン」の町を訪ねてみたいな。「パターソンさん」に会いたいな。
そう思わせられる映画でしたよ!!
映画『パターソン』のキャスト
さて、そんな映画
『パターソン』
基本的になにも起こらない映画ですので、
映画の成功の鍵は登場する俳優さんたちの演技力!
その点は、いい俳優さんたちを集めていて、なんかこの人たちなら何もしてなくてもただ眺めているだけでもいいな、
って思わせられるような人たちでした!
なんなら、脚本なしで、この人たちをある街にしばらく住まわせてキュメンタリーで撮ってても、
一本の映画になるんだろうな、というくらい!
アダム・ドライバーあってこその「パターソン」!
そんな映画の中で、この人がいなくては映画自体が成り立たない存在感を発揮してくれたのが、
主人公の、町の名前と同じ名前を持つ「パターソンさん」を演じた、
アダム・ドライバー
そうです、
この「パターソンさん」の職業は、バス・ドライバー!
アダム・ドライバー、
演じる役はバスのドライバー!
だYo!
ライム踏んじゃったYo!
って、これ絶対、ジャームッシュ監督のオヤジギャグかなんかですよね?!
この役もアダム・ドライバーの当て書きだったりして?
って思うくらい、この映画はアダム・ドライバーなしでは成り立たなかったな。
この映画「パターソン」では、物静かな役だし、体の動きもそれほどないので、
ものを言うのは全て、アダム・ドライバーの顔!!
この顔が、また、いー表情をするんです。
全然大げさじゃなくて、絶妙に、「パターソンさん」の控えめな感情を表現してくれてるんですよね。
はにかんだ顔、困惑した顔、心を打たれた顔、笑いを嚙み殺した顔、びっくりした顔、ちょっと落ち込んだ顔・・・
まさに百面相ですよ!
いい俳優さんだとは思ってたけど、これだけいろんな表情を使い分けられるのって、計算じゃなくて感性なんだろうなあ。
「パターソンさん」の役柄の感情の動きにぴったり沿ってるから、その絶妙な表情が引き出されてくるんだと思います。
アダム・ドライバーのこの「パターソン」の演技は高く評価されていて、ロサンゼルス映画批評家協会賞主演男優賞を受賞しています。
さすが、アダム・ドライバー、いろんな映画に引っ張りだこの人気俳優だけのことはある!
一番有名なのは「スター・ウォーズ」 シリーズのカイロ・レン役だと思いますが、
数々の映画で、しかも大物監督に相次いで起用されているってことは、実力の証明ですよね!
これを見ると、絶対アダム・ドライバーのファンになっちゃいますよ!
アダム・ドライバーは 1983年11月19日生まれの39歳(2023年時点)。
アメリカ、カリフォルニア州サンディエゴで生まれ、インディアナ州で育つ。
映画の中で、海軍の格好をした「パターソンさん」の写真が映るシーンがあるのですが、
アダム・ドライバーも実際に、2001年に18歳で海軍に入隊していたそうです。
骨折による怪我のため除隊になって、インディアナポリス大学へ入り、そのあとジュリアード音楽院へ演劇を学ぶために入学しなおしたのだとか。
2009年にはジュリアード音楽院を卒業し、舞台やテレビで俳優のキャリアを始めます。
そのあとはとんとん拍子で、2012年にHBOのテレビシリーズ「Girls」に出演して、エミー賞に立て続けにノミネート!
そして、2015年には、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」 のカイロ・レン役に大抜擢ですので、ものすごい快進撃!!
ま〜、でも、本当に上手い俳優さんですからね・・・
今回の「パターソン」での演技で、顔の微妙な動きだけでこれだけいろんな感情を表現できるなんて、ただ者じゃない、と再認識しましたよ!
これからもアダム・ドライバーの快進撃は続きそうです!
「パターソン」の奥さん役はイランの美人女優ゴルシフテ・ファラハニさん!
そしてこの映画『パターソン』を華やかに彩っているのは、
主人公の「パターソンさん」の美人妻! ローラを演じた
ゴルシフテ・ファラハニさんです!
この人、本当に美しい!
完璧に文句のつけようのない美人です!
なぜ、パッとしない地味な「パターソンさん」にこんなに美人の妻が?!
というのは、映画の中では説明されないので、謎のままなんですが、
まあ「パターソンさん」は詩も書くし、いい人だし、いいよね、ってことでなんとなくいいか、となります。
こんなカワイイ奥さんにギターをおねだりされたら、買っちゃうよね!?
(ってその時のアダム・ドライバーの表情も絶妙で最高なんですけど!)
奥さんのローラはテキスタイル・アーティストなのかな?
家中にアーティスティックなペイントをして、どこか浮世離れしてるんですけど、
その雰囲気がこの絶世の美女ゴルシフテ・ファラハニさんにぴったりなんですよね。
実はこのゴルシフテ・ファラハニさんもすごい人で、
リドリー・スコット監督の「ワールド・オブ・ライズ」に出演して、
イラン出身女優として初めてハリウッド進出を果たした人なんだそうです。
イランだとそういう国際的な活動は難しいイメージがあるから、すごい快挙ですよね。
そして、アスガー・ファルハディ監督
「彼女が消えた浜辺」
に主演。
国際的に高い評価を受けたのだそうです。
そして、現在は、パリに拠点を移し、ハリウッド作品にも出演が続いているそうです。
『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』 にも出てたらしいですけど・・・
出てた?? もう一度みなくっちゃ!
そして最近では Netflix の『タイラー・レイク』シリーズでも活躍中!
と、国際的に大活躍中!
これからもまだまだ快進撃が続きそうですね!
「パルム・ドッグ」受賞のマーヴィンからも目が離せない!
そしてこの映画『パターソン』では、
主人公の「パターソンさん」と奥さんのローラが可愛がっているのが、
ブサカワのイングッシュ・ブルドッグ「マーヴィン」!!
コイツがもう、反則級にカワイイのだ!!
ヨチヨチ散歩に行く様子も可愛らしくって、「パターソンさん」が真面目な顔して連れて歩いてるのが、なんともユーモラス!!
でもね、「パターソンさん」!
バーの外にマーヴィンをつないで待たせておくのは、ホントにやめたほうがいいですよ!!
だって、誰かに連れてかれちゃったらどうするの?!
映画の終わりまで、私はそこが気になって気になって、ハラハラしてましたよ!!
でも、 映画の最後のエンドクレジットに、
「In memory of Nellie」
って出ていて、「えっ、出演者の誰が亡くなったの?」 って気になっていたら、
なんと、このイングッシュ・ブルドッグ「マーヴィン」を演じた「ネリー」ちゃんが亡くなってしまっていたんだそうです。
悲しい・・・
そして、「マーヴィン」っていうからオスだとばかり思ってたら、メスだったなんて・・・
ごめんよ、ネリーちゃん・・・
このネリーちゃんは、「パターソン」の演技で、カンヌ国際映画祭で、一番良い演技をした犬に送られるパルム・ドッグ賞を受賞しました!
授賞式の前に亡くなっちゃっていたそうですけど・・・
残念です。かわいらしいネリーちゃん、天国で安らかに・・・
日本からは永瀬正敏さんも登場!
そしてこの映画
『パターソン』
のもう一つの見どころは、
日本から永瀬正敏さんも、日本の詩人役で登場しているところです!
ジム・ジャームッシュ監督作品には、
「ミステリー・トレイン」
以来なんと27年ぶりの出演だそうです!
すごいな〜
その間ずっと親交があったってことですよね!
そして、この愛すべき『パターソン』の世界に、日本人キャストも出てくれて、嬉しかったな!
ほんとに詩人なんだかどうだかよく分かんない役だけど、
そういうと主人公の「パターソンさん」も、ほんとに詩人なんだかどうなんだかよく分かんないので、まあいいか。
そんなちょっとよくわからないカンジが、永瀬さんはこのジャームッシュの作品によく似合ってる気がしました。
出演シーンは短かったのですが、思い出に残る良いシーンで、それもよかったです。
ジャームッシュ監督の愛情ですね!
映画『パターソン』ぜひ見てね!
というわけで、
ジム・ジャームッシュ監督の映画
『パターソン』
を見たのですが、
本当にず〜っと見ていたい、幸福感あふれる映画でした!
映画の中では特に何事も起こらないんだけど、
バスドライバーの主人公の日常が淡々と続いていて、それがなんとも微笑ましくて幸せに感じる。
やっぱりジャームッシュの映画、この雰囲気が大好きです!
よかったらぜひ、この映画見てみてくださいね!