戦争ものは基本的には苦手なのですが、これは見ておいた方がいいかと思って、
『ハクソー・リッジ』
見てみました!
沖縄戦の激戦地が舞台ということで、1度は見ておいた方がいいと思って。
結果的には見ていて辛いところが多かったのですが、これを見る人が増えれば、
戦争なんてごめんだ!と思う人ももっと増えるかも、と思います。
ということで、この映画を見るべきポイントだなと思ったところを簡単にご紹介していきます!
映画『ハクソー・リッジ』ってどんな映画?
それでは、まず最初に、この映画
『ハクソー・リッジ』
とは一体どういう作品なのか、簡単にご紹介します!
原題はそのまま、
Hacksaw Ridge
2016年 アメリカ・オーストラリア合作映画。
監督は俳優としても活躍する
メル・ギブソン
がメガホンを取り、
キャストは
アンドリュー・ガーフィールド (デズモンド・ドス)
サム・ワーシントン (グローバー大尉)
ルーク・ブレイシー (スミティ・ブレイシー)
テリーサ・パーマー (ドロシー・シュッテ)
ヒューゴ・ウィービング (トム・ドス)
といった配役で、
第89回アカデミー賞では録音賞と編集賞を受賞という高い評価を得ています。
映画『ハクソー・リッジ』のあらすじ
この映画の舞台は第2次世界大戦時の沖縄。
主人公は75人もの命を救ったという米軍衛生兵デズモンド・ドス。
なんと実話に基づいての映画化です!
敬虔なキリスト教徒のデズモンドは、「人を殺してはならない」という戒律を守って生きていて、この戦争にも衛生兵として従軍することになります。
そしてデズモンドは第二次大戦の激戦地、沖縄に派遣されることに。
そこでは、切り立った崖「ハクソー・リッジ」を攻略部隊に合流し、地獄のような激戦地に足を踏み入れることになるなってしまいます。
激しい戦闘の中「ハクソー・リッジ」には負傷兵たちがそのまま取り残されていて、それを見たデズモンドは、たった一人で負傷兵たちを救い出す仕事に取り掛かるのですが・・・
というストーリー。
ちょっとあらすじを聞いただけでは、本当にこんなことが実際にあったのか、と驚くような内容ですが、
舞台が沖縄だけに一度は見ておくべき映画かと思います。
映画『ハクソー・リッジ』の見どころ
さて、それでは、この映画
『ハクソー・リッジ』
その見どころを簡単にまとめてご紹介していきたいと思います。
史実として沖縄戦で何があったかは多くの方がご存知だとは思うのですが、
以下には映画の内容に触れる部分がありますので、
まだ映画を見ていない方にはご注意をお願いします!
戦場のヴァーチャル・リアリティ
この映画は、第二次大戦の激戦地・沖縄が舞台だけあって、
ある程度覚悟をして見たのですが、想像を超えていたのが
その戦闘シーンのリアルさ
VFXの進化もあって、これまでの映画の比ではない、リアルさに感じました。
まさに「戦場のヴァーチャル・リアリティ」と言ってもいいんじゃないでしょうか。
砲撃で起きた土煙の中、どこに敵が潜んでいるかも分からない中で突撃しなくてはいけない恐怖。
油断するとあっという間に撃ち抜かれて、血が吹き出し、肉が飛び散って・・・
横にいた仲間の兵士も、一瞬でバラバラになって息絶えていく。
そして、下を見れば、これまでの戦闘で亡くなった兵士たちの、死体・死体・死体・・・
その死体の山をかき分けて進む様子を見て、平気でいられる人間はいないのでは・・・
古い死体にはネズミやウジがたかり、画面から死臭も立ち上ってくるような錯覚を覚えます。
残酷すぎて、とても画面を正視してはいられないのですが、
その残酷な戦場を、おそらく現代の技術で限りなく再現したのが、この映画。
画面いっぱいにその地獄のような戦場が広がって、正直言って本当に怖かったです。
自分だったら、恐怖で、もう一歩も踏み出せない。泣きながら、また縄梯子を降りてっちゃうな、と思うのですが、
実際の兵士たちは、逃げたら戦線離脱で厳罰が降るので、逃げることもできない。
進むだけ。
これを見たら、「戦争ってカッコイイ」とかバカなことを妄想しているキッズは絶対に考え方を変えるだろうと思います。
「戦争なんて絶対行きたくない!」って、多くの人が思うはず。
テレビゲームみたいに、敵を撃ったらその死体はどこかに消えていくようなものじゃないんですよね。
人間同士が銃を持って殺しあったら、阿鼻叫喚の地獄絵図がそこにある、ってことを、余すところなく描き出しています。
戦争の「英雄」は、本来、一人でも多く殺した人を指すはず。
その「英雄」はこれだけの無残な死を作り出すのか?
と、まずは、この映画の投げかける「真の英雄とは」という問いかけを、考えさせずにはおかない、
この映画の残酷な戦闘シーンは、やはり一度目にしておいた方がいいかもしれないと思います。
でももちろん、残虐シーンが苦手な方にはオススメしません。
それくらい、この「戦場のヴァーチャル・リアリティ」は見ていて辛いものがありました。
沖縄戦の一つの真実
そして、この映画で、私たち日本人が見ておかなくちゃいけないところだよな、
と思うのは、
やはりこの映画の舞台が沖縄であること
そうなんです、主人公のデズモンド・ドスは、沖縄戦に参加するのです。
沖縄戦、と聞くだけで、その悲惨さを私たちは思って、胸が苦しくなるところがありますが、やはり目をそらしてはいられないですよね。
この主人公のデズモンド・ドスたちが攻略した「ハクソー・リッジ」は、
沖縄戦の激戦地「前田高地」のことなのです。
この「高田高地」は、日本軍が司令部のあった那覇市・首里への侵攻を防ぐために防衛線を張っていたところ。
日米両軍がここで激突し、「ありったけの地獄を一つにまとめた」と言われた激戦となったそうです。
映画の中で、デズモンド・ドスたちの部隊が、敵の日本兵を倒していくシーンには、
この日本兵たちも、どれだけ悲壮な思いでこの戦場に立っていたのか、と胸が痛みます。
この映画は、アメリカ側からの視点で描かれているので、
基本的には、日本兵はアメリカにとっての「敵兵」として、倒さなければならない相手として、どんどん殺されていくし、
また日本兵の突撃でアメリカ兵が死んだりすると、観客の目には憎い仇、ということになるんだと思います。
でも、この時、圧倒的な兵力で上陸してきたアメリカ軍に対して、日本側が絶望的な抵抗を試みていたわけで、
そういう状況はこの映画を見た海外の人には分かるのかな? と疑問にも思いました。
しかも、沖縄戦では一般市民にも多大な犠牲が出たことも忘れてはいけないですよね。
それも映画では触れられていないですけど、これ、絶対に忘れちゃいけないことだと思うんです。
だから、アメリカの人たちじゃなくて、私たちが見る時には、この映画にはまた別の視点が出てくるんですよね。
それはもちろん、逆もしかり、で、圧倒的な戦力で沖縄を攻め落としたアメリカ軍も、
前線の兵士たちはこんなふうに悲惨な結末を迎えた人たちもたくさんいたんだ、と改めて知ることにもなりました。
戦争が双方にとって悲惨しかもたらさない、と実感することになったと思います。
武器を持たない衛生兵
そしてこの映画
『ハクソー・リッジ』
の主人公デズモンド・ドスは、
この地獄のような沖縄戦の激戦地に、
武器を持たない衛生兵
として参加します。
そして、なんと75人もの負傷兵を一人で助けた、しかもこれが実話、というのは、驚きでした。
そんな人がいたなんて、知らなかった!
しかも、救助した負傷兵には、日本兵も含まれていたそうです。
この主人公デズモンド・ドスは、敬虔なクリスチャンなので、「殺すなかれ」の戒律を守っていたそうです。
だから、基本的には銃を持って戦場に行くことには反対の
「良心的兵役拒否者」
この言葉も聞きなれないですけど、宗教上の理由などで戦場に行くことを拒否した人たちは、アメリカなどでは一定数いたようです(*参照:wikipedia 良心的兵役拒否)
デズモンド・ドスの場合は、自分は銃をとって殺しあわないけど、今戦場で傷ついている人たちは救いたい、ということで、
戦闘に参加しない「衛生兵」として、この沖縄戦の戦場へやってきました。
自分の今の感覚でいうと、当然戦場で「衛生兵」は必要なんだから、なってもらえばいいじゃないか、と思うのですが、
軍に所属しながら、「銃は持たない、殺さない」という信念を貫くデズモンドには、同じ部隊の仲間たちから、ひどい嫌がらせがたくさんされました。
ひどいなあ、と思うけど、軍隊という性格を考えると、そうなってしまうのでしょうね。
沖縄の戦場での医療部隊
と聞くと、日本側でいうと、やっぱり「ひめゆり部隊」を思い出してしまいますが、この映画を作ったメル・ギブソンは、知っているのかな? ともちょっと思ったり。
この映画の主人公デズモンドは、国に生きて帰って表彰されるけど、
「ひめゆり部隊」の子たちはたくさんの犠牲を払ってしまったことも、考えずにはいられませんでした。
デズモンドが「ハクソー・リッジ」で救出活動中にも、たくさんの薬を携帯していて、
ああ、これは日本軍には無かったんだよね、と、当時のアメリカ軍と日本軍の置かれた状況の違いも思ったり。
と、いろいろ思うところはあったのですが、
それでも、アメリカ軍の中にこういう「良心的兵役拒否者」がいて、敵味方を分け隔てずに医療行為をしてくれたことは、知ってよかったなと思います。
そして、この主人公デズモンド・ドスを演じたアンドリュー・ガーフィールドは、やっぱりお見事でしたね。
一見ソフトで、純真な印象なのですが、「良心的兵役拒否」を貫く鋼の意思を持っているデズモンドを、うまく表現してくれていました。
この人なら本当にこういうことをやりそう、ってリアリティを持って演じてくれていました。
この主人公をアンドリュー・ガーフィールドが演じることが決まった時点で、この映画は80%くらい成功していたようなものかも。
映画『ハクソー・リッジ』を見て、平和を思う
というわけで、第二次大戦時の沖縄戦の激戦地「ハクソー・リッジ」にまつわる、
知られざるエピソードを扱ったのがこの映画
『ハクソー・リッジ』
正直いえば、このデズモンドの宗教について、私が見ても分からないことも多かったし、
また日本側の描き方についても、正直不満は残りました。
ちょっと「不気味なオリエンタル」って思われてるんだろうな、ってフシもあるし。
それでもやっぱり、この最新VFXを駆使して再現された戦場の説得力はすごくて、
この映画を見れば自分たちの今の平和がどれほどありがたいか
って思わずにはいられないです。
つい70年前にはこれほどの地獄が実際にあったわけですからね。
特に私たち日本人にとっては、沖縄がこれだけの地獄と化したということを忘れてはいけないと思います。
そういう意味では、ちょっとでもこの映画のことが気になったら、多くの方に目撃してほしい映画です。
そして絶対にこの平和を守りたいな、という決意を新たにすることができれば、と願わずにはいられません。
どうかできる限りこの「平和」が長く続きますように!
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