いよいよ賞レースシーズンのクライマックス!
ハリウッドの最高峰を決定する
2024年(第96回)のアカデミー賞の受賞結果が発表されました!
今回はほぼ前評判通りと言える波乱の無い結果となり、
有力2作品が主要賞をほぼ独占。
そして日本からの2作品が受賞という嬉しいニュースに沸いたアカデミー賞でした!
アカデミー賞受賞結果レビュー!ほぼ前評判通りの結果に
ということで、
いよいよ賞レースシーズンのクライマックスとなる、
ハリウッドの最高峰を決定する
2024年(第96回)のアカデミー賞の受賞結果が発表されました!
今回はほぼ前評判通りに、有力2作品が主要賞をほぼ独占。
そして日本からの2作品が受賞という嬉しいニュースもありました!
そんな今年のアカデミー賞の受賞結果を、個人的な感想を交えながらレビューしていきたいと思います!
『オッペンハイマー』大勝利
まずは、今年のアカデミー賞の目玉は、
クリストファー・ノーラン監督が「原爆の父」の素顔に迫る伝記映画
『オッペンハイマー』
前哨戦のゴールデングローブ賞でも強さを発揮していたので、
おそらくは主要賞を獲得するだろうと予想されていましたが、
結果としてはほぼ予想通りの大勝利でした!
- 作品賞
- 監督賞:クリストファー・ノーラン
- 主演男優賞:キリアン・マーフィー
- 助演男優賞:ロバート・ダウニー・Jr.
- 編集賞:ジェニファー・レイム
- 撮影賞:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
- 作曲賞:ルドウィグ・ゴランソン
という、最多7部門受賞!
ノーラン監督作品としても初めてアカデミー賞でここまで受賞を独占した形になりました。
しかし、こうしてアメリカでは賞賛の嵐の作品ですが、日本ではまだ公開されていないので、なんとも感想の言いようがありません。
アメリカでここまで高評価ということは、原爆の負の側面をどこまで扱っているのかな?と疑問にも感じます。
日本に原爆が投下されたという歴史的事実を扱っていながら、
映画の中では原爆投下による惨禍の描写が全く無いという話も聞いていて、
いったいどういう評価をしたらいいのか、まだ分かりません。
観ようによっては、アメリカ人の好むように「戦争を早く終わらせたヒーロー」という捉え方もできるのだろうか、
と思うと、不安も感じます。
この作品はもうすぐ公開になりますので、実際に目撃してからその感想を改めてまとめてみたいと思います。
『哀れなるものたち』大健闘
そして今回、
ヨルゴス・ランティモス監督作品
『哀れなるものたち』
も、11部門ノミネートを受けて大注目を受けていましたが、
結果としては、
- 主演女優賞:エマ・ストーン
- 美術賞:ショーナ・ヒース/ ジェームズ・プライス
- 衣裳デザイン賞:ホリー・ワディントン
- メイクアップ&ヘアスタイリング賞 ナディア・ステーシー、マーク・クーリエ、ジョシュ・ウェストン
という4部門受賞となりました!
これは、時には難解で独自色の強いランティモス監督作品としては、大躍進と言えるのではないでしょうか?
ランティモス監督作品は、ヨーロッパの映画祭では強さを発揮しても、
ハリウッドの頂点を決めるアカデミー賞には縁がないのかと思っていたので、
さすがにこれだけ映画祭で高評価を勝ち取っているランティモス作品を、ハリウッドも無視できなくなったのかな、という気がします。
また、キャスト陣もハリウッドスターが数多く出演し、
主演のエマ・ストーンもすでにオスカーを受賞していて評価は確定したので、取りやすい下地はありましたね。
また特に、今回受賞の4部門のうち、3部門は美術系チームの功績ですので、
独自の造形美を見せた衣装、セット美術、ヘアメイクなど、美術面での評価がとても高いことは注目です。
他の映画と比べても、これほど美術面で画期的な作品は見当たらないのでは無いかと思います。
今回受賞は逃しましたが、撮影も実験的な試みと映像面の美しさが眼を見張るものでしたし、
不安定な旋律をかなでる音楽、長尺を感じさせないテンポの良い見事な編集など、
どれも本当の意味で「唯一無二」という他ない仕上がりの作品で、
映画というのは総合芸術だということを改めて知らしめてくれた、とてつもない作品でした!
結果的に4部門受賞で終わりましたが、私の中では全部門受賞させてあげたいくらいのとてつもない映画でした!
ランティモス監督の前作『女王陛下のお気に入り』から大躍進となりました!
外国語映画『落下の解剖学』躍進
そして今回のアカデミー賞のもう一つの目玉は、
フランスのジュスティーヌ・トリエ監督の手がけたサスペンス
『落下の解剖学』
カンヌでパルムドールを受賞した作品が、
アカデミー賞でも作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされて注目を浴びていましたが、
見事にジュスティーヌ・トリエ監督とアルチュール・アラリのコンビによる脚本が、
脚本賞を受賞しました!
この作品の脚本は、観客に情報を与えすぎないで、映画を見ながら一緒に推理できるようになっているのが本当に見事でした!
今映画を思い出しても、これという欠点が全く見当たらないほど、
緊迫感の持続する編集、音楽、出演陣の演技、どれをとっても素晴らしかったので、
カンヌでパルムドールを獲得したのは大納得!
ジュスティーヌ・トリエ監督はこれでさらに映画界での評価を高めたこととなりましたので、
近いうちにまたアカデミー賞でも最高賞を獲得する日も近いかもしれません?!
トリエ監督の前作『愛欲のセラピー』も見てみたいですね!
ウェス・アンダーソン『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』短編実写映画賞受賞!
そして今回のアカデミー賞で個人的にうれしかったのが、
ウェス・アンダーソン監督の短編
『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』
が短編実写映画賞を受賞したこと!
ウェス・アンダーソン監督は言わずと知れた人気監督で、
その独自のテンポとまるで絵本の中から抜け出してきたきたような映像が独自の世界を作り上げています。
私も大好きで監督作品はほぼ見ていますが、
なんと今回アンダーソン監督はオスカー初受賞!
え?なんで今回初?
と、逆にびっくりするくらいですが、これまで何度も何度もノミネートされていても、
受賞には至っていなかったということなんですね。
ですので、ようやくの受賞、というのがぴったりな作品となりました。
この「ヘンリー・シュガー〜」は Netflix 配信作品で、いつもながら監督・脚本・製作を兼任。
この作品でも、いつものパステルカラーの絵本のような世界は健在でしたが、
舞台の書き割りのように場面ごとにセットが大移動する、という、
美術面でとても見ていて楽しい作品でした!
いったいどうやって撮ったんだろう?と思わず何度でも見たくなります!
出演も、今回初めて参加したベネディクト・カンバーバッチが主演に加え、
いつもの常連俳優たち、レイフ・ファインズ、デーヴ・パテール、ベン・キングズレーたちが豪華に出演して、
アンダーソン監督ここにあり!という楽しい作品でした!
オスカー初受賞おめでとうございます!
ウェス・アンダーソン監督の『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』も楽しかったです!
>>『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』完全なるウェス・アンダーソンの世界!
宮崎映画『君たちはどう生きるか』長編アニメーション映画賞受賞!
そして今回のアカデミー賞では、日本勢が複数受賞という嬉しいニュースもありました!
もはや世界中でアニメ界の第一人者として尊敬を集める宮崎駿監督が、
引退宣言を撤回して10年ぶりに手がけた長編作
『君たちはどう生きるか』
が、見事に、
長編アニメーション映画賞受賞!
これは本当に嬉しいですね、宮崎監督の復帰作を、世界でどれだけ多くの人たちが待ち望んでいたか、
ということがよく分かります。
実は今年のアニメ部門では、
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』
という強力な対抗馬がいて、こちらもアニメーション表現のレベルを押し上げた意欲作でしたので、受賞は五分五分だと思っていました。
しかし、宮崎監督、ジブリ作品のこれまでの映画界への貢献が認められての受賞だったと思います!
本当に受賞おめでとうございます!
『ゴジラ-1.0』視覚効果賞受賞!
そして日本からは、なんと
『ゴジラ-1.0』
が、視覚効果賞受賞!!
これも嬉しいですね!!
だってなんといっても対抗馬が、ハリウッドの巨額を投じたVFX作品ばかり!
『ザ・クリエイター/創造者 』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
『ナポレオン』
などなど、正直言って予算面では、箸にも棒にもかからないレベルだったと思います。
寂しいですけど、日本映画の予算なんて、しょせんそんなもんです。
そんな中で、見事オスカー獲得ですから、正直これは快挙という以外ない!
そして今でも「ゴジラ」がハリウッドでも通用する人気シリーズなんだということを改めて思い知らされました!
実はこれまでそんなにいわゆる「ゴジラ映画」って見たこと無かったんですよね。
これを機会に日本が誇る「ゴジラ」をもっと見てみようと思いました!
アカデミー賞、また来年度が楽しみ!
ということで、
今年の賞レースシーズンのクライマックスである
2024年(第96回)のアカデミー賞の受賞結果
について、感想レビューをまとめてみました!
今回はほぼ前評判通りと言える波乱の無い結果となり、
『オッペンハイマー』が圧倒的な強さを発揮しましたが、
個人的には独自の美術的世界を作り上げた
『哀れなるものたち』
が躍進したのは嬉しかったですね。
そのほかにも、『落下の解剖学』や、『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』、そして日本からの2作品など、
いわゆる「ハリウッド主流」とは言えないような作品たちが多く受賞したのが印象に残りました。
昨年度の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』もそうでしたが、
こういういわゆるオスカー取りそうもない映画が多く受賞できるのは嬉しいですね!
これからもまたエッジの効いた作品や、外国作品にも広く門戸が開かれたアカデミー賞が見られることを期待して、
来年度のアカデミー賞授賞式も楽しみに待ちたいと思います!
昨年の「エブエブ」の快挙についてはこちらの記事をあわせてどうぞ!